学校

思い出の生徒の話

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こんにちは、やきいもやです。

 

今回は、私が公立高校の教員をしていた頃の経験から、

特に印象に残っている生徒のことを書きます。

といっても、個人が特定できない程度にフェイクを入れて書きますね。

 

私が30代で教員としては中堅どころの頃、担任をした生徒で、

ここでは仮にM君としましょう。

 

入学式の日、新たな担任としてM君の母親から相談を受けました。

 

母親曰く、「うちは母子家庭ではないが、父親がどこかに行ってしまって

行方が分からない。当然仕事先にも連絡はない。

 

法律上、母子家庭でもないので、行政の母子家庭手当も受けられない。

高校はお金が必要になると思うが、こういう状況なので

今後とも相談に乗ってほしい」とのこと。

 

突っ込んで聞きたい部分もたくさんありましたが、

それも失礼かと思い、頼み事には快諾をしました。

 

M君は一言で言うと、とても良い子でした。

学校ではいつも前向きで明るく、友達も多く、

家庭が経済的に大変なことなど学校では微塵も感じさせませんでした。

学習成績も優秀で、クラスの5番から下には落ちたことはありません。

 

スポーツ万能で、ある運動部に所属し、みるみる実力をつけて

2年生からはキャプテンとして先頭に立ってきました。

 

いつも部活動が終わると真っ先に帰宅していました。

家庭が経済的に大変なのに部活をしていることに負い目があったのでしょう。

 

自分の学費、部活動費の助けになるようにと、

毎日少しずつですがアルバイトをしていたのです。

練習や試合のない土日は毎日バイトです。

 

普通ならクタクタに疲れて授業どころではなくなりそうですが、

M君は授業中に居眠りなど一度たりともしたことはありません。

 

かといって優等生キャラでもなく、

クラスの生徒からもとても信望の篤い人物でした。

 

3年生になり、いよいよ進路について決定する時期になりました。

M君は後々母親を楽にさせてあげたいと常々言っていましたので、

大学進学を強く希望していました。

 

しかし、家庭の経済事情のため、当然私立は難しく、

国公立大学への進学を希望したのです。

 

結果としては、M君は受験に失敗しました。

生活費の足しにと、アルバイトを続けながらの受験勉強でした。

それが足を引っ張ったことは明らかでした。

 

でもそれで諦めなかったのがM君のすごいところです。

 

浪人して再受験の道を選択したのですが、

当然、浪人するには大学進学と変わらないお金が必要になります。

 

そこでM君は、イバラの道を選びました。

「新聞奨学生」。これがM君の出した結論です。

 

つまり、慣れない都会で寮に入り新聞配達の仕事をしながら、

予備校費と生活費をまかなってもらい受験勉強をするのです。

 

朝は2時30分に起床(!)、3時から準備をして配達を始めます。

6時頃配達が終わり、朝食を取った後で予備校へ。

16時まで講義を受け、寮や図書館でさらに学習。

夕食後、22時には床につき就寝。

 

こんな生活を1年間、親には一切の経済的負担をかけずに

M君は続けました。

 

そして、念願としていた第一希望の国立大学に合格。

M君の芯の強さには心底感服してしまいました。

 

もしもM君の家庭が経済的に余裕があれば、

最難関の最高学府にも入学できた可能性すらあります。

 

このような生活を誰にでもできることではありません。

 

親として、子が不安無く進路決定をできるように、

前もって経済的な準備をしておきたいものですね。

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