先日のことです。私が住むマンションにこんな張り紙が出されました。
「ゴミ出し場にネットを設置します。ゴミを出したらネットを隙間なくかぶせて下さい。」よくよく読むと、カラスがゴミを荒らして仕方がないので困った管理会社による措置でした。
あなたの周りでもカラスがゴミをあさったりしていませんか?昔から田畑を荒らしたり、カラスって人間にとって結構迷惑な存在です。
昔なら案山子を田畑に設置したり、最近ではCDを窓辺にぶら下げたりしたものですが、彼らは賢くてすぐに覚えちゃうんですよね。困ったもんだ σ(-c_,-´。)
このように賢いカラスですが、彼らの知能って人間の何歳くらい?どんなことができるの?なぜそんなに知能が高いの?などなど、気になる疑問をリサーチしてみました!
スポンサーリンク
カラスの知能の高さ
カラスの知能は人間の7歳児と同程度と言われています。カラスの知能の高さを表す例として幾つかの例を挙げていきます。
カラスの問題解決能力
カラスは、類推したり仮説を立てたりすることで与えられた問題を解決する能力を持っています。
上の動画の実験からは、カラスは横から水の深さを確認して重りを入れています。また、重りを入れてみても届かない時には別のビーカーを試したりもしています。
また、U字状に下がつながっているビーカーを使った実験では、見事に変化に対応することもできています。
全体を観察し、どうすれば餌を得られるか仮説を立てて実行し、ダメなら異なるアプローチをしている訳です。決してデタラメな試行錯誤や偶然の結果ではありません。
カラスの状況判断力と長期記憶
ワシントン大学のカエリ・スイフト氏の実験で、カラスはある状況が自分に危険なものかを見極める高い判断能力と、それを長期にわたり維持する記憶力を持っていることが分かりました。
スイフト氏の実験の概要はこうです。
町の100ヵ所以上に餌を設置。25人のボランティアをカラスから見える餌の近くに立たせました。そこで以下の3つの状況でのカラスの行動を観察しました。
一つはボランティアがカラスの死骸(剥製)を抱えて立つ状況。二つ目は何も持たずカラスの天敵であるアカオノスリの死骸の側に立つ状況。最後はカラスの死骸を抱え、更にアカオノスリの死骸の側に立つ状況です。
ボランティアにはマスクを着けてもらうため、顔で判断することはできません。
するとカラスは仲間の死骸を抱えたボランティアの人間がいる場所で騒ぎ、他のカラスに注意を呼びかけ始めました。
カラスは、ボランティアがカラスの死骸を抱えアカオノスリの死骸の側に立っている時に最も激しく騒ぎ、何も抱えていないボランティアには関心を見せませんでした。
驚いたことに、6週間後にボランティアを同じ場所に立たせても、カラスは同様に数日にわたり騒ぎました。ボランティアが手に何も持っていないにも関わらずです。
カラスがボランティアを「脅威」と見なし、外見を記憶した結果だと言うことができます。
カラスをイジメた結果敵と見なされ、いつまでも付きまとわれたり近所で騒がれてイヤな思いをした人の話も聞いたことはないですか?こうしたことはやはりあるんですね。
カラスの知能の高さを表す他の例
他にもカラスの知能が高いことを裏付ける例が、研究者によって多く示されています。
- 未来に備えて計画を立てられる。空腹に備えて餌を貯蔵し、その場所を記憶している。
- 同様に、後の利益を優先して目先の利益を我慢できる。
- 道具を用いることができる。
- 生きるのに不要な遊びをする。
後の利益を優先させる事などは、まさに人間の7歳児と同様の自制心と予測力だと言われます。
カラスは人間の様に猿から進化した訳ではありません。にもかかわらず、人間に似た高い知能を持っている理由とは何でしょうか?
スポンサーリンク
カラスの知能は「並行進化」してきた
ドイツのテュービンゲン大学のレナ・ヴェイト博士は、カラスは「並行進化」の結果として人間に類似した高い知能を獲得したとの説を唱えています。
並行進化とは次の様な概念です。
異なる系統の生物間で,進化に関して同様の傾向が認められる現象。たとえばある種の頭足類 (タコ) と,浮遊性の棘皮動物 (ナマコ) と,クラゲが,いずれも広がった傘形となることなどはその一例。
祖先が共通で,そこから分れた系統間に平行進化があった例としては,中新世から現在にいたるモグラネズミ類の進化で,3系統が,体躯の大化などの平行進化を示す。(出典:ブリタニカ国際大百科事典)
カラスは鳥類、人間はほ乳類で、それぞれ全く別系統の進化を遂げてきました。にも関わらず、結果としてはカラスは人間がする様に道具を使ったり、長期記憶を持っていたり、簡単な論理を理解したりします。
ヴェイト博士が行った実験から、カラスが正確でかつ長期にわたる記憶力や、変化に対応できる柔軟性を持っていることが示されました。
記憶力を測る実験はこのようなものです。特定の画像を見せ、後に複数の画像から最初の画像を選択させました。このテストでカラスは極めてよい結果をおさめました。
それだけでなく、画像やテスト内容を変えても柔軟な対応を見せたということです。
ほ乳類のイルカやクジラが魚類の様に海で生きるのと同じで、鳥類のカラスが人間の様に高度な記憶力や柔軟な対応力を持っているのは、進化の結果として類似の能力を獲得した為なのです。
知能の高い他の動物にいるかがいます。こちらを参考にどうぞ。
高い山に登るルートは一つではなく、高い知性を獲得するにいたる系統も複数あるってことですね。
まとめ
いかがでしたか?カラスについての疑問解消のお役に立てたでしょうか?以下にまとめておきます。
まとめ
- カラスは人間の7歳児と同程度の知能を持っています。
- 仮説を立てて問題解決をする能力を持っています。
- 高い状況判断能力と長期記憶力を有します。
- カラスは並行進化の結果、人間に次ぐ高い能力を獲得しました。
カラスのことが理解できると、何となく可愛らしく思えてきませんか?これからは無闇に嫌うのはやめておいてあげましょう。
この記事へのコメントはありません。