私の暮らす愛知県で有名な神社といえば熱田神宮に豊川稲荷です。でもすぐお隣の三重県にはあの伊勢神宮があります。
伊勢神宮と言えばザ・神社!トップオブ神社!神社の中の神社が伊勢神宮です。
でもこう書くと、中国地方の人からこんな意見を頂戴するかも知れません。
「出雲大社も伊勢神宮に劣らず格の高い神様だよ!」と、こう思っていらっしゃる方は西日本を中心にかなり多いのでは?
あなたは伊勢神宮と出雲大社、どちらかへ参拝をされた事はありますか?
私は伊勢神宮へは二度ほど参拝を果たしました。うっそうたる神宮の森の奥に鎮座している静謐な空間です。出雲大社へもいずれは参拝をしてみたいです。
とこんなことを考えていたらちょっと混乱してきました。この二つってどんな違いがあるのかな、って。どっちの方が格上なのかも気になります。
そこで調べてみるとすごく興味深いことがザクザクと出てきましたので、あなたとシェアしたいと思います!
ぜひ最後までお付き合い下さいね。
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伊勢神宮と出雲大社の違い
伊勢神宮と出雲大社。日本広しといえどもこの二つはツートップ的な扱いの特別な神社です。この二つの特筆すべき違いをざっと紹介すると次の様なことが挙げられます。
- 神社としての格の違い 伊勢神宮>出雲大社
- 歴史の違い 伊勢神宮>出雲大社(?)
- 祭神の違い 伊勢神宮 内宮=天照大神 外宮=豊受大神 出雲大社=大国主大神
- 参拝の作法の違い 伊勢神宮=二礼二拍手一礼 出雲大社=二礼四拍手一礼
ざっとこのような違いがあります。続いてはそれぞれの詳細を見ていきましょう。
神宮と大社の格
神社本庁に属する神社の格としては、神宮がトップ、それに次ぐのが大社です。故に 伊勢神宮>出雲大社 となります。
厳密には現代では神社の格(=社格)というものは定められていません。しかし歴史的に見てもこの順序は間違いないでしょう。
神社本庁とは、全国125の神社を統括する総本部の様な役割の機関です。
そもそも「神宮」とは伊勢神宮のことを指す正式名称でもあります。「伊勢神宮」とは一般的な呼称に過ぎません。故に「神宮」とは明治の社格制度の対象外とされていました。それほどに特別なのです。
明治の社格制度を引き合いに出せば、神宮を除けば次の様な順序になります。
官幣社>別格官幣社>国幣社>府県社>郷社>村社>無格社>摂社>末社
この一番上に位置する官幣社にも大社、中社、小社があり、出雲大社は官幣大社62社の一つでした。
明治以前は「大社」と書いて「おおやしろ」と読みました。そしてそれは一般的には出雲大社のことだったんです。そして明治の近代社格制度において初めから官幣大社に指定されていたのが唯一、この出雲大社でした。
歴史が古いのは
両者の歴史を比較するために、それぞれが紹介している成立年を比較すると 伊勢神宮>出雲大社 となります。
神社の成立は何年であると簡単に述べることが難しいのです。何を持って成立年とするか、沢山の見方かあるからなんですね。そこで、それぞれのHPにある記述を見てみました。
まずは伊勢神宮には次の様な記述がありました。
このように天照大御神は永遠の御鎮座地を伊勢に得られたのです。これが二千年前にさかのぼる、皇大神宮御鎮座の歴史です。
このように伊勢神宮では祭神である天照大神が伊勢に鎮座した時をもって始まりとしています。
対する出雲大社には次の様な記述が見られました。
こうして大国主大神様は目に見えない世界を司られ、天照大御神様の御命令によって高天原の諸神がお集まりになり、大国主大神様のために宇迦山の麓に壮大なる宮殿が造営されました。
大国主大神がこの宮殿に鎮座した時を出雲大社の始まりとするならば、この記述のタイミングにあたります。
これはいわゆる「国譲り」によって、大国主大神が天照大神に統治権を譲ったエピソードにあたります。この国譲りがいつだったかについては諸説あってハッキリ分かっていないのが現状です。
ただし論理的に考えると、やはり伊勢神宮の成立の方が古かったと考えるのが自然です。
なぜなら、伊勢神宮の成立を天照大神による伊勢地方の支配と捉えると、大国主大神が国を譲るのは広い支配地を持つ強力な相手だと考えられるからです。
まだ伊勢地方の支配を確立していない弱い相手に国を譲ることはないでしょう。つまりまとめると次の様な順序と考えられます。
伊勢神宮の成立(=天照大神による伊勢地方の支配の確立) ⇒ 出雲大社の成立(=大国主大神から天照大神への国譲り)
さて、すでに何度か天照大神とか大国主大神などの名前が出てきましたが、続いては御祭神について比較してみましょう。
祭神の違い
伊勢神宮では天照大神と豊受大神を御祭神としています。対する出雲大社では大国主大神を御祭神としています。
伊勢の天照大神は皇大神宮(内宮)に祀られています。太陽神であり、大国主大神から国譲りを受けた結果、日本の国を遍く照らす最高位の神様として現世を見守る神様でもあります。
豊受大神は豊受大神宮(外宮)に祀られています。こちらは天照大神のお食事を司っているだけでなく、衣食住や産業の神様とされています。
出雲大社の大国主大神は農業、医療、商業を司る神様として知られています。また国譲りにより現世からは退いて、幽世(かくりよ:あの世のこと)を司る神様となりました。
実は幽世とは神々が人間のあらゆる縁を決めている世界なんです。仕事の縁、お金の縁、男女の縁もこれに含まれるため、出雲大社は縁結びの神様として有名なんですね。
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参拝の作法の違い
参拝の作法の違いは前述もしましたが、再びチェックしてみましょう。
二礼、二拍手、一礼
二礼、四拍手、一礼
この他、出雲大社では5月の大祭礼では二礼、八拍手、一礼という作法も定めています。
更に付け加えるなら、これらの作法は一般の人が行う略式の様なものなのです。正式な作法は次の様なものです。
一揖(ゆう)、二拝、二拍手、一拝、一揖
一揖、四拝、二拍手、一拝、一揖
「揖」とはほんの10度から15度、浅く腰を折って頭を下げる作法です。「拝」とは90度の角度で腰を折る作法です。拝をするときには手を気持ち腿の前へと移動します。
神様にお参りする訳ですから、人に対して行う「礼」とは異なる作法があるんですね。
ちなみに、出雲大社を除いて全ての神社での作法は伊勢神宮での作法と同じです。ご近所の神社で正式な参拝をしてみてはいかがですか?
まとめ
いかがでしたか?伊勢神宮と出雲大社、それぞれに格式高い場所ですが、こんな違いがあったんですね!個人的には国譲り神話に興味が湧きましたので、いずれ詳しく調べてみたいと思っています。
それでは今回の記事の内容をおさらいしておきましょう。
- 神社としての格は伊勢神宮が最上で出雲大社はそれに続きます。
- 国譲り神話から、伊勢神宮との方が古いと推測できます。
- 伊勢神宮は天照大神と豊受大神を、出雲大社は大国主大神をそれぞれの祭神としています。
- 参拝作法は伊勢では二礼二拍手一礼、出雲では二礼四拍手一礼です。
- 神社での正式な参拝の作法も記載しました。
今回調べてみて、日本の神様ってとても奥が深いことがよく分かりました。次に神社にお参りするときには敬虔な気持ちになりそうですね。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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