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マンションのベランダの喫煙に管理規約で対抗!法律や判例は?

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マンションは集合住宅であるため、喫煙など様々なことがトラブルとなりやすい性質があると言えます。

賃貸マンションなら最悪の場合でも引っ越しをすれば済みます。でも分譲マンションだと簡単に引っ越すわけにも行きません。多くの人は終の棲家だと決心して購入しますからね。

そんな分譲マンションには強い味方があります。それは管理規約と呼ばれるルールの存在です。

果たしてマンションのベランダでの喫煙は管理規約で制限できるのか?また法律上、判例上はどんな判断が下されるのか?

こうした疑問に対して詳しく解説していくので、ぜひ最後までお付き合いくださいね。

マンションのベランダでの喫煙を管理規約で制限

マンションのベランダでの喫煙は管理規約に盛り込むことにより制限や禁止が可能です。

管理規約とはマンション等の住民で結成される管理組合の根本規約のことです。多くの場合、国土交通省が示す「マンション票呪運管理規約」を参考に住民の総意に基づいて作られます。

その国土交通省の「マンション標準管理規約(単棟型)」の第一条には次のように書かれています。

この規約は、○○マンションの管理又は使用に関する事項等について定めることにより、区分所有者の共同の利益を増進し、良好な住環境を
確保することを目的とする。

ごく平たく書き直すと、「このマンションでは住民の利益と住みよい環境作りのためにルールを定めるよ」とぃうことです。

つまりベランダでの喫煙の制限や禁止が住民共通の利益となったり住みよい環境作りとなるのであれば、管理規約に盛り込むことが可能なのです。

蛇足ですが、実はマンションのベランダは室内とは異なり「共用部分」とみなされます。前出の「マンション標準管理規約(単棟型)」には次のように書かれています。

別表第2 共用部分の範囲
1 エントランスホール、(中略)バルコニー等専有部分に属さない「建物の部分」

普段は住民が専用使用できることになっているけど火災などの場合には廊下などと同じように避難経路として使うこともあるんですね。

こうした事情もあって、ベランダでの喫煙を制限するように管理規約を改正しやすい形に既になっていると言えます。

それでは実際にはどのような手順を踏めば管理規約を改正することができるのか?続きをご覧下さいね。

管理規約改正の手順

管理規約を改正するには以下のような手順を踏む必要があります。

  1. 理事にベランダの喫煙で困っている旨を相談して規約改正を願い出る
  2. 数名の住民で理事会公認の検討委員会を立ち上げる
  3. 現在の規約の問題点を把握して改正案を練る
  4. 住民説明会を実施して改正案を示す
  5. 理事会で審議をしてもらう
  6. 住民集会に提案をして4分の3以上の賛成が得られれば改正案成立

ちょっと面倒ですが、正当な手続きを踏むことが大切なのです。筋を通して話を進めることにより住民の合意を得ることができ、最終目標である4分の3以上の賛成を得る可能性が高くなります。

管理規約の改正手続きのポイントについてはこちらの記事でより詳しく解説しました。ピアノの騒音への対策ですが参考になると思うのでぜひご覧下さい。

さて、マンションのベランダの喫煙問題はさらに上位の法律上はどのように扱われるのでしょうか?管理規約を改正する上でも強い根拠となるので、続きをご覧下さいね。

マンションのベランダの喫煙は法律上はどうなの?

実は法律上は、マンションのベランダでの喫煙は不法行為となる場合があります。仮に管理規約に明記されていなくても不法行為と見なされる場合があるということです。

民法第709条には、次のように明記されています。

第709条【不法行為による損害賠償】 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

ここに書かれている「他人の権利または法律上保護される利益を侵害」とは、具体的には喫煙による健康被害がある場合のことが想定されます。

この場合、過失であっても損害賠償の責任を負うことになるわけですね。

ではさらに具体的に、こうした法律に基づいた過去の判例を見てみましょう。

マンションのベランダの喫煙トラブルでの判例

マンションのベランダでの喫煙に関わる過去の判例のポイントをまとめると、次のようになっている事が分かります。

  • マンションは共同住宅なので、1日数本程度の喫煙を我慢するのは住民としての義務である
  • ただし、限度を超えたり健康被害が出たりするほどなのに喫煙を継続した場合は制限することも可能である

上記は平成24年12月13日に名古屋地裁が下した判決の要約です。実際の判決文は以下のようなものです。

自己の所有建物内であっても、いかなる行為も許されるというものではなく、当該行為が、第三者に著しい不利益を及ぼす場合には、制限が加えられることがあるのはやむを得ない。(中略)

マンションの他の居住者に与える不利益の程度によっては、制限すべき場合があり得るのであって、他の居住者に著しい不利益を与えていることを知りながら、喫煙を継続し、何らこれらを防止する措置をとらない場合には、喫煙が不法行為を構成することがあり得るといえる。(中略)

そもそも、上階の住人においても、近隣のたばこの煙が流入することについて、ある程度は受忍すべき義務があるといえる。

さらにこの判決が画期的であるのは、管理規約に明記されていなくてもベランダでの喫煙を制限することができるという判断を下したところです。同じ判決文には次のようにあります。

このことは、当該マンションの使用規則がベランダでの喫煙を禁じていない場合であっても同様である。

前述で紹介したように管理規約の改正を試したけどうまく行かなかった場合でも、こうした判例が現実に存在することを知っているだけでも強みとなります。

万が一、最終手段として法的措置を考える場合には参考になるのではないでしょうか。

まとめ

いかがでしたか?マンションは共同住宅であるだけに様々なトラブルが起こりやすい性質があります。喫煙も難しい問題ですが、解決の糸口はありそうですね。

それでは今回の記事の内容をおさらいしておきましょう。

まとめ

  • マンションのベランダでの喫煙は管理規約により制限する事が可能です。
  • 管理規約改正の手順をご紹介しました。
  • 法律上は、ベランダでの喫煙は不法行為みなされ責任を問われる事があります。
  • 受忍限度を超える喫煙に対する賠償責任を認める判例が存在します。

同じ建物に住む住民同士、うまくお付き合いをして快適な生活をして行きたいものですね。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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