選挙権が18歳からとなってから随分経ったので、高校生が選挙に行く姿も当たり前の光景になってきましたね。
選挙というと衆議院の総選挙や参院選など様々ありますが、衆議院と参議院の違いってどんなものだったか覚えていますか?
「なんか中学校で習ったけど忘れちゃった」という人が殆どだと思います。大丈夫、大人でもちゃんと答えられる人はあまり多くありません。
でもせっかく選挙で一票を投じるなら、衆議院と参議院の違いをきちんと把握しておきませんか?選挙制度の違いや、日本の国会が2院制となっている理由も合わせて紹介していきますよ。
それでは是非最後までお付き合いくださいね。
衆議院と参議院の違いをズバリ!
衆議院と参議院の違いをズバリ言うなら次の点に就きます。
- 衆議院は有権者の直近の意見や考えを政策に反映させるための集団
- 参議院は専門知識が豊富な人の観点から政策をじっくりと練る集団
このようになります。
細かい事を書くと、衆議院の方が定数が多いとか、衆議院は任期4年で途中解散があるのに参議院は任期6年で途中解散はないとか、様々な違いがあります。これらは全て上で述べた衆議院と参議院の性質の違いを具体化したものです。
こうした両院の違いについて、以下に一覧表で示します。
衆議院 | 参議院 | |
定数 | 465名 | 248名 |
任期 | 4年 | 6年(3年ごとに半数を改選) |
被選挙権 | 25歳以上 | 30歳以上 |
解散 | あり | なし |
その他 |
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一覧表にすると、衆議院の方がより多くの人の意見を幅広く反映させる形になっているのに対し、参議院は専門知識を持っている議員がじっくりと議論ができる体制となっている事が分かります。
定数が多い衆議院の方が様々な意見を持った人材が政治家として当選する可能性が高くなります。
そして衆議院の任期は4年で、かつ解散があることでさらに短くなります。だから、直近の有権者の意識や意見を政治に反映させやすいと言えます。
対する参議院は定数が少なく任期は6年と長くなります。解散もありません。これは高い知見を持っている政治家がじっくりと議論をして政策を煮詰めていく事に適した形になっています。
そして、忘れてはいけないのはその他に書いた「衆議院の優越」です。衆議院と参議院で結論が異なる場合、衆議院で再び審議をして3分の2以上の賛成により可決をするというシステムです。
衆議院には有権者の直近の意見が反映されるという理念の元、参議院より衆議院の方に強い権限を持たせてあるんですね。
衆議院の優越は他にもあります。予算や条約の批准についての審議を衆議院から始めることもそうです。また内閣不信任決議案は衆議院だけが提案できます。
衆議院と参議院の選挙の違いは?
衆議院と参議院の選挙の違いも、前述した両院の性質の違いを考慮した物となっています。下の一覧表をご覧下さい。
衆議院 | 参議院 | |
選挙時期 | 解散による(総選挙) | 3年ごとに半数を改選(通常選挙) |
選挙制度 | 小選挙区比例代表制 | 大選挙区比例代表制 |
選挙区 | 全国289の選挙区から各1名当選(289名) | 都道府県ごと決められた定数が当選(74名) |
比例代表制 |
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最後の比例代表制の部分が分かり難いですが、ザックリ書くと衆議院の比例代表制では個人を選ぶことができないのに対して、参議院では個人を指名して投票できるところが最も大きな違いです。
また、参議院の選挙区は全国を一つとしますので、知名度が高い候補が当選しやすいシステムだと言えます。参院選に有名な芸能人や元スポーツ選手などが立候補することが多いのは、こうした背景があるからです。
衆議院と参議院がある理由とは?
ここまで見てきて分かるように、衆議院と参議院の2院制となっている理由は幅広い意見を政策に取り入れて様々な角度から検討することにあります。
衆議院の議員は入れ替わりが激しい代わりに、様々な人材が当選しやすくなっています。これは国民の少数意見も吸い上げやすいというメリットがあります。
その衆議院で可決された政策は、次に参議院へと持ち込まれて審議されます。これは「良識の府」と呼ばれる参議院の高い知見を持つ議員が、衆議院の決定を専門的な視点から再検討するというダブルチェックの機能と言えます。
でも衆議院で可決をされた政策が参議院で否決をされれば、衆議院の優越により再び衆議院で議論がされます。
これは、みんなで決めた結果を専門家に見てもらい、否定されたら再びみんなで考え直すのに似ていますね。
最終的には民主主義はみんなで決める制度ですので、参議院から衆議院へと差し戻されても3分の2以上の賛成があれば可決とされるんですね。
日本の国会が衆議院と参議院の2院制となっているのはこうした理念に基づいていますが、実は歴史的な背景もあります。
明治から終戦直後まで続いた大日本帝国憲法の元で、かつての国会では衆議院と貴族院という2院制が敷かれていました。
貴族院は皇族や華族、有識者から特に選ばれた人などで構成されていました。解散はなく、一部の議員には選挙もありませんでした。選挙で選出される議員も華族による互選でした。
終戦に伴って大日本帝国憲法や華族制度が廃止されたことで貴族院も消滅しましたが、現在の憲法にはかつての2院制の形を残したため、参議院には学識経験者が立候補するものという伝統が続いています。
まとめ
いかがでしたか?
衆議院と参議院の違いって何か中学校の授業で勉強したな、って程度にしか覚えていない人が大半だと思います。
でも選挙に行くにはこうした違いのことをよく考えて、それぞれに相応しい候補に投票をして行きたいですね。
それでは今回の記事の内容をおさらいしておきましょう
- 衆議院は直近の有権者の考えを幅広く政策に反映させるという性格を持っています。
- 参議院は有識者がじっくりと議論して政策を煮詰めるという性格を持っています。
- 衆議院と参議院の選挙の違いも、こうした両院の性格の違いから設定されています。
- 日本の国会が2院制である理由は、衆議院で決定した事項を参議院でチェックするためだと言えます。
10代の方々の意見も政治に反映させることができるようになりました。ぜひ選挙にいってあなたの貴重な一票を活用しましょう!
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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