東名高速道路を走っていて静岡県に入ると、野山一面に茶畑が広がって見える場所がいくつもありますよね。
あなたは静岡のお茶畑って見たことはありますか?ひょっとして静岡の人なら「毎日見てるよ」って感じでしょうね。
これぞ日本人の心の原風景!って感じがします。同時に心に浮かんでくるのが、有名な「茶摘み」の歌です。
「夏も近づく八十八夜…」の歌詞から始まるあれです。あの歌詞の意味ってよく考えてみたことってありますか?
ところどころ、今は使われない言葉も混ざっていますよね。
「茶摘み」の歌詞の意味とは?「八十八夜」っていつのこと?「あかねだすき」って何?というあなたのために、気になる疑問をリサーチしてみました。ぜひ最後までお付き合いください。
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「茶摘み」の歌詞と意味
「茶摘み」という歌の歌詞とその意味は下のとおりです。
野にも山にも若葉が茂る
あれに見えるは
茶摘ぢやないか
あかねだすきに菅(すげ)の笠
もう夏も近くなった八十八夜の日
野山に若葉が茂っている
あそこに見えているのは
茶摘みの娘達の姿ではないか
あかねだすきと菅笠をかぶっている
昔の言葉の歌詞でも何となく意味は分かるものですが、ちゃんと理解した上で歌うと情景が蘇ってくるようですね。
でも「八十八夜」とか「あかねだすき」とか、普段使わない言葉も使われています。これらが何を指しているのか気になりませんか?調べてみたらこんなことがわかりました!
八十八夜とはこういう日
八十八夜とは立春から88日目のことで、5月2日前後のことを指します。
この頃になると気候が安定して野山の緑や農作物がぐんぐんと成長し始めます。一方で明け方に遅霜が発生しやすい時期でもあり、作物の成長に注意するように戒める意味で八十八夜を一つの節目として設定したようです。
また、八十八夜から数日を数えると立夏(5月6日前後)となり、暦の上では夏に入る事になります。「夏も近づく八十八夜」とはこのことを指しているんですね。
この八十八夜は季節の変わり目を表すだけでなく、茶摘みとは深い関わりがありました。
八十八夜は良い新茶を作れる日
日本の製茶の伝統では3月中頃から八十八夜までに摘んだ茶の新芽で作った物を新茶と呼びます。
特に八十八夜に摘んだ新芽で作った新茶は縁起ものとして喜ばれ、飲めばその年は病気をしないで過ごせると言われています。
これは八十八という数字の縁起の良さから来ています。
まず「八」という漢数字自体が末広がりで縁起が良いとされています。
また八十八を合成すると「米」という漢字になりますよね。昔から米はお百姓さんが八十八の手間ひまをかけてようやく採れるとか、米一粒には八十八の神様が宿っているとか言われてきました。
年を取って八十八歳になると「米寿」として特別にお祝いをしたりもします。
こうした縁起の良さとその年で採れる最後の新茶だというプレミアム感を合体させて、茶摘みの世界では「八十八夜」を特別な日としたのですね。
ところで、緑茶と紅茶は実は同じ茶の木の葉から作られているって知っていましたか?
緑茶と紅茶の違いについて興味のある方はこちらの記事からどうぞ。⇒ 紅茶と緑茶の違いとは?成分や効能を調べて意外なことが分かったよ
おっと、忘れてはいけないもう一つの言葉「あかねだすき」ってどんな物でしょうか?
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「あかねだすき」とはこんな物
「あかねだすき」とは茜という植物で染めた赤いタスキのことで、茶摘みの作業をする女性たちが着物の袖を固定しておくために使っていました。
ではなぜ赤く染めたタスキを使ったのでしょうか?
茜の成分が役立っていた
実は「茜」で染めたタスキは、茶摘み娘達が指先を怪我した時に応急処置に使えるように使っていたんです。
植物の「茜」を辞書で調べてみると、染料として以外に止血の薬の材料となっていたことがわかります。
あかね【茜】① 〔赤根の意〕 アカネ科の多年草。(中略)根は黄赤色で、アリザリンなどの色素を含み、染料とする。また、止血・解熱薬などとする。
(出典:大辞林 第三版(三省堂))
昔の茶摘みは機械はおろか、道具すらも使わない完全な手作業でした。にも関わらず茶の枝で指先を怪我をしやすい作業でもありました。
茶を摘んでいて指先に怪我を追った時に、応急処置として茜の成分が染み込ませてあるタスキで止血をしたのが「あかねだすき」の始まりのようです。
単に袖を固定しておくだけでなく一石二鳥を狙っての事で、無意味に派手な赤いタスキを着けていたわけではなかったんです。昔の人の知恵がこんなところにも生きているなんて驚きですね!
まとめ
いかがでしたか?あなたの疑問解消のお役に立てたでしょうか?以下にまとめておきます。
まとめ
- 「茶摘み」という歌の歌詞と意味を掲載しました。
- 八十八夜とは立春から数えて88日目の季節の節目のことです。
- この日に摘んだ茶の新芽で作った新茶は縁起ものとして喜ばれました。
- あかねだすきとは茜という植物で染めた赤いタスキのことです。
- 茶摘みで指を怪我をしたらあかねだすきで応急処置をしていました。
いまでこそあかねだすきに菅の笠で茶摘みはしないでしょうが、こういう風景は心に刻んでおきたいものですよね。最後までお付き合い頂きありがとうございました。
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