雑学

山笑うとはいつの季語?どんな由来?有名な俳句もあるよ

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私の知り合いで俳句に詳しい人に、ある年の4月頃にこんなことを言われたことがあります。

「『山笑う』って言葉は、ちょうどああいう山の具合を言うんだよね。」

ふと見るとそこには新緑が鮮やかな山々。山が笑っていると言われて妙に納得したものでした。

あなたは「山笑う」なんて言葉を聞いたことはありますか?

そうするとやっぱり気になってきますよね。「山笑う」は4月頃の言葉?なら夏、秋、冬にはどんな言葉があるんだろう、って。

そこで調べてみると色々と出てきました!

「山笑う」はやっぱり春なの?他の季節は何ていうの?誰が最初に使った言葉?などなど、気になる疑問に応えるためにリサーチしてみました!ぜひ最後までお付き合いください。

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「山笑う」季節とは

「山笑う」とは、春を表現する言葉です。

3月になると山の木々から新芽が芽吹きだして、冬枯れの寂しい色から徐々に明るい緑色を取り戻していきます。その様子を山が笑っているようだと表現したんですね。

現代の我々の感覚からすると山が笑っているように見えるのは3月から5月くらいかと思いますが、俳句の世界では少し違うようです。

俳句の中ではいつの季語?

俳句の中で使われる場合、「山笑う」は春の季語となり、現在の暦で2月から4月にあたります。

2月には寒さが少し和らぎ梅の花を始めが咲き始めて、ほんのちょっとだけ春の息吹を感じるようになります。イメージとしては山が微笑む程度でしょうか。

3月になると桃や桜も咲き始め、木々の新芽が出てきて冬枯れの寂しい山から少しずつ色づき始めます。

4月には桜の花も散って葉桜となり、山々の色合いも完全に新緑へと様変わりします。こうなると山が満面の笑みをたたえている風情ですね。

「山笑う」とは上手いことを言ったものです。ではこの表現を最初に考えたのはどんな人だと思いますか?

「山笑う」の由来

「山笑う」の表現を最初に書物に残したのは、郭煕(かくき)という中国の北宋時代の画家です。郭煕は自身が表した書物「臥遊録」の中にこう記しています。

春山淡冶にして笑うが如く(春の山はあっさりとして艶めかしく、笑っているように描くべきである)

この言い回しが現代の詩歌の世界にも受け継がれ、俳句などの季語として定着しているわけです。

では春以外の季節に同様の表現があるんでしょうか?

山で季節を表現できる

実は春以外の季節も山を使って表現することがあります。実は上に紹介した郭煕の「臥遊録」は、下のように全ての季節を表現しています。

春山淡冶にして笑うが如く、

夏山蒼翠として滴(した)たるが如し、(夏の山は緑が生い茂って滴るように描くべきである)

秋山明浄にして粧うが如く、(秋の山は明るく清らかで化粧をしているように描くべきである)

冬山惨淡として睡(ねむ)るが如し(冬の山は寂しく暗く眠っているように描くべきである)

俳句等の季語としては「山笑う」「山睡る」が人気が高く、「山粧う」は季語には入っているけどあまり人気ではありません。「山滴る」に至っては歳時記の中でも季語として認められていない事が多くあります。

実は夏の季語としては「山滴り(岩などから水がしみ出てくる様子)」というよくにた言葉があり、これとの混同を避けるためと言われています。

これらの季語が実際の俳句の中でどのように使われてきたか見てみたくないですか?

「山○○」を使っている俳句

参考に、これらの季語を採用している俳句を幾つかご紹介します。全て有名な俳人が詠んだ句ですよ。

故郷やどちらを見ても山笑ふ  (正岡子規)

笠一つしたたる山の中を行く (正岡子規)

眼をつぶれば今日の錦の野山かな  (高浜虚子)

山眠る如く机にもたれけり  (高浜虚子)

高浜虚子の秋の句だけ、「山粧う」というストレートな表現をしていませんが、「錦の野山」という類似のイメージということで並べて紹介させていただきました。

ところで、俳句の世界では2月が春と言われてもちょっと早すぎるんじゃない?という気がしませんか?実はこんな裏があったんです。

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今でも生きている「二十四節気」

俳句の季節の元になる歳時記は、中国から取り入れた二十四節気(にじゅうしせっき)に基づいて季節を決めています。

二十四節気とは、一年を段階に応じて24の細かい季節に分けた季節の節目のことです。「春分」「秋分」「夏至」「大寒」などもこの二十四節気のうちの一つなんですね。

この二十四節気を現代の暦に当てはめると概ね次のようになります。

  • 春・・・初春(2月) 仲春(3月) 晩春(4月)
  • 夏・・・初夏(5月) 仲夏(6月) 晩夏(7月)
  • 秋・・・初秋(8月) 仲秋(9月) 晩秋(10月)
  • 冬・・・初冬(11月) 仲冬(12月) 晩冬(1月)

うーん、やっぱり私達の感覚と微妙にずれているような気がしませんか?

でもこれらは今でもちゃんと生活の中に生きていて、身近なところでは時候の挨拶はこれに基づいています。7月の手紙の時候の挨拶で、「初夏の折…」なんて書くと恥ずかしいことになりますので注意が必要ですね。

まとめ

いかがでしたか?あなたの疑問解消のお役に立てたでしょうか?以下にまとめておきます。

まとめ

  • 「山笑う」は春を表現した言葉で、俳句等では春の季語です。
  • 北宋時代の中国の画家、郭煕が書物に「山笑う」を書き残しました。
  • 夏、秋、冬にもそれぞれ対応した表現があります。
  • 正岡子規や高浜虚子らがこれらを季語にした句を残しています。
  • 俳句の歳時記の季節は「二十四節気」に基づいていて、時候の挨拶でも使われています。

最後までお付き合い頂きありがとうございました。

 

 

 

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