冬の寒さも和らいだ頃、3月くらいになってふと気づくことってありませんか?
日が昇るのが早くなったな、日が暮れるのが遅くなったな、って。
3月といえば春分の日。日が長くなるのはまだまだこれからという時期です。
では一年で一番費が長いのはいつ頃かはご存知ですよね?
そう、6月21日頃の夏至の日です。日本各地で昼の時間が14~15時間くらいになります。西の方にある福岡などでは日の入りが19時30分頃になります。ビックリしませんか?
夏至については別記事にしましたのでこちらを参考にどうぞ。
それでふと思ったんです。冬至といえばカボチャを食べますよね。でも夏至にはコレ!ってものはあまり聞かないな、って。
では地域によっては特別な食べ物があるのか?関東と関西で違いはあるのか?などなど、気になる疑問をリサーチしてみました。ぜひ最後までお付き合いください。
スポンサーリンク
関東での夏至の食べ物はコレ
関東では小麦をこねて平べったくして焼いた「小麦餅」を食べる習慣があります。小麦餅とは米と小麦を同じ量使ってこねて焼いた餅のこと。これを夏至の少し後、「半夏生」の日に食べた風習が今でも残っています。
昔の農家には時期によって小麦と米を育てる二毛作を行っていたところが多くありました。
小麦の栽培と収穫が夏至の頃に終わり、半夏生の日までに稲の田植えが終わります。忙しい時期を無事終えることができましたと神様に報告し、同時にお疲れ様という労いの意味を込め、新小麦を使った餅をお供えし、また皆で食べたことに由来します。
では一方で関西では何を食べる習慣があるのでしょうか?続けてご覧ください。
関西での夏至の食べ物はコレ
一方関西では夏至にタコを食べる習慣があります。
6月終わりといえばタコが旬の時期を迎え、一番美味しくなる季節です。明石のタコといえば全国的にも有名ですよね。
昔は動物性蛋白質を摂る機会が少ない時代でした。稲の田植えが終わってちょうど稲作の空白になるこの日に、貴重なタコを食べて暑い夏の雑草むしりに備えましょうという意味合いがあった訳です。
また、タコが足の吸盤でシッカリと岩や船底に踏ん張ることから、タコの足のようにこの土地に根を張って頑張りましょう、という意味も込められています。
材料
- ゆでダコ 50g
- きゅうり 1本
- キムチ 40g
- ごま油 小さじ1
タコときゅうりを一口サイズに切り、キムチとごま油で和えます。1時間ほど冷蔵庫で冷やすと冷たくて美味しいですよ。ビールのおつまみにもイケます。
関東では小麦餅、関西ではタコと全然違うものですが、どちらも田植えが終わってお疲れ様、夏にも頑張りましょうという意味合いがあるのは興味深いですよね。
さて、関東や関西以外の地方では何か特別なものを食べる習慣はあるのでしょうか?
スポンサーリンク
中部や四国にもあった夏至の食べ物
調べてみると、関東や関西以外の地域でも夏至に食べるものがある場所を見つけることができましたのでご紹介します。
福井では鯖の丸焼き
福井では鯖を丸焼きを家族で一本食べる習慣があります。これは「半夏生鯖(はげっしょさば)」と呼ばれ、江戸から続いている風習です。
福井県には江戸時代に大野藩という藩がありました。その藩主が農民の負担軽減と栄養補給を目的として、半夏生の日に鯖を食べることを奨励する御触れを出したことが始まりです。早速商人が鯖の丸焼きを売り出した所、大人気となってこの地方の風習として根付きました。
静岡の冬瓜って何?
冬瓜(とうがん)とは瓜の一種で、夏に収穫され冬まで保つくらい貯蔵性が高いことからこのような名前がつきました。冬に収穫されるからではありません。
静岡では夏至に冬瓜を食べる習慣があります。
冬瓜のあんかけ
- 冬瓜 300g
- みりん 大さじ1と1/2
- 酒 大さじ1と1/2
- めんつゆ 大さじ1
- 顆粒だしの素 少々
- 水 200g
- 片栗粉 小さじ1
冬瓜は皮をむき一口サイズに切っておきます。水、みりん、酒、めんつゆ、だしの素を混ぜ合わせて冬瓜を入れて煮ます。7~8分経って冬瓜が柔くなっていれば火を止め蓋をして3分待ちます。片栗粉を入れてよく混ぜて出来上がり。
三重県ではミョウガを食べる
三重県ではミョウガを食べる習慣があります。
ミョウガは平安時代に大陸から日本に生姜とともに伝わったと言われています。匂いの強い方を「兄香(せのか)」、弱い方を「妹香(めのか)」と呼び、それが変化してショウガ、ミョウガとなったと言われます。
ミョウガには食べると物忘れがひどくなるという俗説がありますが根拠はなく、逆に香りによって集中力を高める効果が認められているそうですよ。
愛知ではイチジク
三重県のお隣の愛知県ではイチジクを食べる習慣があります。
愛知県といえば味噌文化が有名ですが、夏至の日にはこのイチジクにも田楽みそをつけて食べるそうです。
味噌カツ、味噌煮込みときたら、味噌イチジクが続いて有名になる日も遠くないかもしれませんね。
香川ではやっぱりあの食べ物
香川県ではやっぱりこの日もアレでした。何のことか当ててみてください。
そのとおり、うどんです。
小麦の生産が昔から盛んだった香川では、夏至の頃に収穫を終えた小麦を使って打ったうどんを振る舞って、農作業を手伝ってくれた人たちの労をねぎらった習慣があります。
しかし香川では何かにつけてうどんを食べている印象がありますが、これも県民性ってものでしょうかね(;^ω^A
夏至は農業の節目の日
各地の夏至の食べ物について触れてきましたが、共通して言えることは農作業と深く関わっていることです。今は夏至とほぼ同一視されるようになった半夏生という日も同様です。
半夏生とは夏至から数えて11日目、現在の暦で7月2日のことです。稲の田植えはできれば夏至までに、どんなに遅くとも半夏生までに終えないと秋の収穫が少なくなると言われていました。
江戸時代まで農事は農家だけの問題ではなく、年貢を納める先である藩、それをまとめる国としても最も枢要な問題でした。何と言ってもこの国の食を支えてきたわけですから当然です。
だから農民の身分は武士のすぐ下、二番目に数えられてとても手厚く扱われてきました。
その農民が最も忙しくなる小麦の刈入れと稲の田植えの時期を無事に乗り切ったことを祝い、夏の田の手入れと秋の収穫に備えて体力を蓄えようとするのも分かる気がしませんか?
だから夏至や半夏生の日に特別なものを食べるのは、農業と切っても切り離せないつながりがあるのです。
まとめ
いかがでしたか?あなたの疑問解消のお役に立てたでしょうか?以下にまとめておきます。
- 関東では夏至の日に小麦餅を焼いて食べる風習があります。
- 関西ではタコを食べる風習があります。
- 他の地方では鯖、冬瓜、イチジク、ミョウガ、うどんなど様々です。
- 夏至やその後の半夏生の日は農業の節目で、この日に特別なものを食べて栄養を蓄える風習が今に生きています。
夏至の日に普段あまり食べない物にチャレンジしてみると面白いかもしれませんね。最後までお付き合い頂きありがとうございました。
この記事へのコメントはありません。