「湘南で~見た よしずの君は~♪」夏になると自然にこんな歌が頭に浮かんできます。
でも私の住んでいるあたりでは「よしず」ってあまり見ないんですよ。私自身、「あー、海の家とかに立てかけてあるアレだっけ?それとも窓に吊るすヤツだっけ?」という程度の覚えしかないんですね。
この程度の認識なので、よしずとすだれをよく混同しちゃうんです。大学時代に関東の知り合いと話していて、すだれとよしずの区別がついていないと怒られちゃいました。( ̄∇ ̄; )
あなたはよしずとすだれの違いを説明できますか?調べてみましたので、よく分かっていないならちょっとお勉強していきませんか?
果たしてよしずとすだれの違いは?どちらのほうが涼しいのか?について大解説しちゃいます!
ぜひ最後までお付き合いくださいね。
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よしずとすだれの違い
よしずとすだれ、この二つは形も機能もよく似ていますが別物です。二つの違いを簡単にご説明します。
まず、こちらがよしずの写真です。
よしずは窓や縁側の外側から立て掛けるようにして使います。これだけでも日光を遮断しますが、外ですので水で濡らすこともできます。材料は葦(ヨシ、アシ)を使います。葦だから「よしず」って訳です。
立て掛けて使うわけですから、葦が地面に対して垂直となりつないでいる糸が地面と平行になりますね。
対するすだれはこのようなものです。
室内や軒下に吊り下げて日光を遮るものです。基本は室内や軒下ですので、水に濡らして使うことはあまりしません。材料は竹を細く割ったものが使われます。最近では葦を使うこともありますけどね。
上から吊り下げますので、竹が地面と水平となりつないている糸が地面に対して垂直になります。よしずを丁度90度回転させた形になる訳です。
二つの違いが分かるように、他の情報と合わせて一覧にしましたのでご覧ください。
よしず | すだれ | |
漢字 | 葦簾、葦簀 | 簾、簀垂れ |
材料 | 葦(ヨシ、アシ) | 竹(葦のこともある) |
使い方 | 外から立て掛ける | 窓の内外に吊るす |
大きさ | 幅約180cm、高さ不定 | 幅、高さともに不定 |
値段 | 1,000円~20,000円程度 | 500円~2,000円程度 |
さて、気になるのはどちらのほうが実用的で涼しさを与えてくれるのかということです。
さらに深掘りをしてみましたので続けてご覧ください。
よしずとすだれ、勝者はよしず!
よしずとすだれを比較すると、より室内を涼しくできるのはよしずだと言えます。
その理由は両者の使い方の違いにあります。続けて見ていきましょう。
よしずは外に立てて濡らして使える
上の一覧にあるように、よしずはサッシに外から立てかけるように使います。そのため地面に反射して足元を照らす日光も遮ることができます。
そしてサッシとの間にある程度の空間ができるため、熱をこもらせないこともすだれより優れている部分です。
また葦の間を詰めて精密に作られているため、値段は高いものが多いですが日光をよく遮ってくれます。
さらに、前述したように水で濡らして使うことができます。濡れたよしずをとおして入ってくる風は気化熱の作用によって2℃ほども温度を下げることができるんですよ!
気化熱とは液体が蒸発する時に周囲から熱を奪っていくことを言います。この性質を利用して気温を下げる例としては「打ち水」などが挙げられます。
じゃあすだれはあまり効果がないかって?そんなことはありません。すだれだってとても優れた防熱性能を発揮するんですよ。
すだれだってカーテンやブラインドよりも優れている
よしずよりは劣るとはいえ、すだれも暑さを和らげるのにとても優れた効果を持っています。その性能はカーテンやブラインドよりも優れていると言われています。
すだれがカーテンよりも優れている理由は、日光を遮断して風を通すところにあります。
布製のカーテンを閉めるとどうしても風の通りを悪くして室温を上昇させる結果になります。その点すだれは風を通すために室温の上昇を招きません。
じゃあ風を通すブラインドはすだれと同じかと言うと、実はそうではありません。ブラインドが約50%をカットするのに対して、すだれがカットする紫外線は何と約80%になるからです。
またカーテンもブラインドも、それ自体が日光の影響で熱を持ち、その熱を室内に放出して室温を上げてしまいます。すだれは竹を必要以上に加工しないで作ってあり、日光に照らされても熱を持ちにくくなっています。
つまり暑さを遮る性能としては、よしず>すだれ>カーテン、ブラインド という図式が成り立ちます。
ちなみにすだれも窓から少し離れた軒下などに吊るして水をかければ、よしずと同じような効果を得ることができますよ。
話は変わりますがよしずとすだれって兄弟みたいな関係なんですよ。実はよしずはすだれの一種だったのです。
すだれは奈良時代にも使われていた
元はすだれの方が先に使われていて、よしずは後からすだれの一種として作られました。
奈良や平安時代の貴族が身分が低いものに姿を直接見せないように室内に吊るしていた「御簾(みす)」というものがあります。これが現在のすだれの元の姿です。
この時代にすだれが使われていた事を示す証拠として、万葉集の中に額田王(ぬかたのおおきみ)が詠んだが残っています。
君待つと 我が恋ひおれば我が宿の 簾動かし秋の風吹く(巻四・四八八)
(解釈)
いつおいで遊ばすかと心待ちにしていると、秋の風にすだれが揺れて物音を立てた。
このすだれのように私の心もわずかな秋風に揺さぶられるのだ。
額田王といえば万葉集の女流歌人として有名ですが、近江天皇の后でもありました。これは夫の近江天皇を思いつつ詠んだ歌です。一人の女性の切ない気持ちを飾らずに詠んでいて、こちらもキュンとしちゃいそうです。
エアコンが苦手ですぐに寒いと感じる方は、よしずやすだれをうまく使って夏の暑さをしのいで行きたいところですね。
エアコンなしの夏の過ごし方はこちらの記事も参考にご覧ください。
エアコンが寒いと思う人はこんな対策もあります。
まとめ
いかがでしたか?1000年も昔から使われているすだれやよしずが夏の暑さ対策としてこんなに優れているとは予想外でとても驚きました!昔の人の知恵って素晴らしいですね。
それでは今回の記事の内容をおさらいしておきましょう。
- よしずとすだれは材料、大きさ、使い方などに違いがあります。
- よしずの方がすだれよりも暑さを遮る効果が高いと言えます。
- すだれもカーテンやブラインドよりも優れています。
- すだれの方が古く、万葉集の歌にもすだれが読まれています。
手頃なお値段で自然な涼しさを得られるのならばこんなに良いことはありません。エアコンを効かせた部屋でビールもいいですが、よしずやすだれの日陰でスイカというのも素敵ですよ!
最後までお付き合い頂きありがとうございました。
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