「五月雨を あつめて早し 最上川」
松尾芭蕉の有名な一句です。夏を前にして最上川に水が集まり勢いを増している力強さを詠んだ句ですね。
他にも梅雨の季節を詠んだ句は実はあるのかな?とふと気になり、調べてみました。すると意外にたくさんありました。中にはあんな有名人やこんな人が詠んだものもありました!
あなたも梅雨の句を味わってみませんか?
合わせて梅雨を表す季語も調べてみました。是非最後までお付き合いくださいね。
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梅雨の季語を使った俳句
梅雨の季節を詠んだ俳句は相当にたくさんあります。下に紹介していきますので参考にしてください。
青梅に 手をかけて寝る 蛙哉 (小林一茶)
有名な俳人、小林一茶の句です。季語は「青梅」です。一茶はか弱いものや小さなものに優しい視点を当てた俳人として有名ですね。
梅雨晴れの 夕茜して すぐ消えし (高浜虚子)
高浜虚子の句です。季語は「梅雨晴れ」。梅雨の合間に晴れてほんの少しだけ見えた夕焼けを惜しむ気持ちが伝わってきます。
紫陽花に 雫あつめて 朝日かな (加賀千代女)
季語は「紫陽花」です。紫陽花は白、紫、ピンクなど様々な色のものがあることから「八仙花」とか「七変化」などとも呼ばれます。
美しき 黴や月さし ゐたりけり (加藤楸邨)
季語は「黴」です。私達が嫌う黴の中にも美しさを見出して詠んだ句です。いろんな視点があるものですね。
紫陽花や 帷子時(かたびらとき)の 薄浅黄(うすあさぎ) (松尾芭蕉)
言わずと知れた松尾芭蕉の句です。季語は「紫陽花」です。紫陽花の花が咲いている様子を帷子を着ていることに模して季節感を出しています。
紫陽花や 昨日の誠 今日の嘘 (正岡子規)
こちらも有名な正岡子規の句です。季語は「紫陽花」です。紫陽花の花の色が移ろいやすいことを捉えて人の心の移ろいやすさ、世の無情に思いを巡らせています。
わが恋は 人とる沼の 花菖蒲(はなあやめ) (泉鏡花)
明治から昭和にかけて活躍した小説家の泉鏡花の句です。季語は「花菖蒲」。「私の恋は人の沼から花菖蒲を盗むようなものだ」と解釈できます。禁断の恋のことを詠んだんですね。
五月雨を あつめて早し 最上川 (松尾芭蕉)
松尾芭蕉の有名な句です。季語は「五月雨」です。詳しくはこちらの記事を参照してください。 ⇒ 五月雨という季語はいつ使う?実は5月に使うのは間違いだった!
さみだれや 青柴積める 軒の下 (芥川龍之介)
五月雨つながりでもう一句。あの小説家の芥川龍之介もこんな句を読んでいました。季語は「さみだれ」です。軒の下の薪が雨で湿ってしまうことを詠んでいます。
梅雨雲の うぐひす鳴けり こゑひそか (水原秋櫻子)
水原秋櫻子の句で、季語は「梅雨雲」です。梅雨のどんよりとした空の下、どこかで静かに鳴いているウグイスの鳴き声が聞こえてくるようです。
梅雨晴れや 蜩(ひぐらし)鳴くと 書く日記 (正岡子規)
正岡子規の句で、季語は「蜩」です。梅雨の晴れ間、日が傾いてきたことをヒグラシの声で気づき日記を書くきっかけとしていたんですね。
降る音や 耳もすう成る 梅の雨 (松尾芭蕉)
芭蕉の句です。季語は「梅の雨」です。「耳もすう成る」とは「耳も酸っぱくなるような」と解釈できます。聴覚と味覚の両方に訴える効果を狙った芭蕉らしい句です。
紫陽花も はりの色の 曇つてゐる
最後にご紹介するのは放浪の詩人、種田山頭火の自由律俳句です。季語は「紫陽花」です。どんよりした曇り空と紫陽花の花の色を対比させて描写しています。
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梅雨の季節にはこんな季語がある
梅雨の季節を表す季語を調べてみると出てくる出てくる、実にたくさんの季語があることが分かります。ちなみに梅雨は季節としては夏に分類されますので、全て夏の季語になります。
梅雨(ばいう)、黴雨、梅の雨、梅霖、青梅雨、荒梅雨、梅雨じめり、梅雨前線、梅雨時、ついり、五月曇、五月雨、梅雨晴、梅雨雷、梅雨曇、空梅雨、迎へ梅雨、送り梅雨
紫陽花、蝸牛(かたつむり)、蛞蝓(なめくじ)、黴(かび)、鰯(いわし)、鯵(あじ)、穴子、梔子(くちなし)、花菖蒲(はなあやめ)、栗の花、梅、金糸梅(きんしばい)
黴とか蛞蝓とか、ジメジメしてちょっと嫌な感じの季語が結構たくさん入っているものです。でもこれらを含めて季節を感じさせる言葉として俳句で使うことができるんです。
まだまだ他にもたくさんの季語がありますので調べてみると面白いかもしれませんね。
まとめ
いかがでしたか?あなたの疑問解消のお役に立てたでしょうか?
今回は梅雨関連の俳句と梅雨を表す季語をご紹介しました。最後までお付き合い頂きありがとうございました。
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