松竹梅っておめでたいものの象徴で、いろんな所で目にすることがあります。
その中でも飲食店、特にお寿司屋さんや鰻屋さんなど和食のお店で好んで用いられていますね。
懐に余裕がない私は、こうした和食のお店に入っても「松」なんて注文する勇気はなかなかありません。
あなたは家族や友人とこうした店に出かける時には何を注文することが多いですか?思い切って「松」?でもちょっと高すぎるからワンランク下の「竹」?
実は、この「松竹梅」の順番を逆にして営業している鰻屋さんがあるという噂を聞きつけて、早速調べてみました。
その結果はどうだったのか?合わせて飲食店で「松竹梅」が使われている理由や由来、「松竹梅」の続きに来る言葉があるのかなどなども紹介していきます!
それではぜひ最後までお付き合いくださいね。
松竹梅の順番を逆にしているケース
松竹梅の順番を逆にしている飲食店は現実に存在します。ツイッターに下のような投稿がありました。
…なんか順序が逆じゃない? pic.twitter.com/LajhmbwFlX
— おりがみ (@ori_gami) 2018年6月8日
一般的には「松=特上」「竹=上」「梅=並」という順番になっています。しかし上のツイートで紹介されている店舗は逆になっていて、「梅=特上」「竹=上」「松=並」とされています。
これは店長さんのユーモアなのかも知れませんね。ウナギが高級食材となった今、「松」をポンと注文するのはなかなか勇気がいるものです。
そこで「松一丁!」なんて威勢良く注文するのはなかなかスカッとしそうです。金額のことをそれほど気にする必要もなさそうですね。
でもやはり通常は松竹梅の順番ですよね。それでは飲食店などでこのようなランク付けをしている理由って一体何なんでしょうか?続きを見ていきましょう。
飲食店で松竹梅のランク付けをしている理由
飲食店でお料理のランク付けを「松竹梅」としているのは注文するお客への配慮が最大の理由です。
どういうことかというと、仮に「特上」「上」「並」というランク付けになっているとしましょう。「特上」を注文したいお客には次のような心理が働いてしまうかも知れません。
- 金持ちが聞こえよがしに高いものを注文していると思われそうで嫌だ
- 逆に貧乏人が無理していると思われそうで嫌だ
反対に、「並」を注文しようとしているお客は次のように思うかも知れません。
- 安いものを注文してケチ臭いと思われたくない
- 貧乏人だから安いものを注文していると思われそうで嫌だ
鰻屋さんなどの店舗でお客がいちいちこのようなことを気にしていたら、出された料理を心から楽しむ事なんてできないでしょう。
もちろん、こうしたことは店のスタッフとしても本意ではありません。どんなお客でも何を注文しても、心から美味しいと思って味わって欲しいというのが店側の心意気というものです。
こうしたお客の心理に対して、あえて「松竹梅」という文字を使ってランキングを表現することでお客に無用な心配をかけさせまいとする店側の配慮の結果できあがった文化だということができます。
確かにこれなら「梅ひとつください」とか「私は松にしようかな」なんていう会話が周囲に聞こえてもギスギスした感じにはなりそうにありませんね。
すると、「松竹梅」の文字でランキングを表現することにどんな由来があるんでしょうか?「松竹梅」ってそもそも何から来ているんでしょうか?
松竹梅の由来
「松竹梅」とは中国画のテーマである「歳寒三友」に由来します。
「歳寒三友」とは、宋の時代に始まった文人画のテーマのひとつです。松や竹は寒い中でも色あせることがありません。また梅はまだ寒い時期に花を咲かせます。この「歳寒三友」には日本のような「おめでたい」という意味はありません。
この「歳寒三友」が日本に伝わったのが平安時代です。以後、時代を経るに従って民間へと広く定着していきました。そして江戸時代には現代とほぼ同様の「松竹梅」となったと言われています。
松竹梅の順番で上下関係を表しているのは、おめでたいものとして認知されるようになった順番だという説があります。つまり「古いものほどより良い」という考え方ですね。これは概ね次のような説です。
- 松=平安時代におめでたいものとされた。長寿や不老不死の象徴。
- 竹=室町時代におめでたいものとされた。子孫繁栄の象徴。
- 梅=江戸時代におめでたいものとされた。気高さや長寿の象徴。
ただし、本来の「歳寒三友」には上下の区別はありません。上で紹介した鰻屋さんは、ひょっとしたらそのことをご存じのうえで独自に「梅竹松」のランキングを付けたのかも知れませんね。
ところで、松竹梅にはさらに下に続く言葉って存在するのか気になりませんか?続いて解説をしていきますのでお付き合い下さいね。
松竹梅の続きに来る言葉
結論から書くと、「松竹梅の続きに来る言葉はありません」となります。
前述のように、松竹梅はその成り立ちから三つで一つとされていたものであり、これら以外の言葉が割り込むことはないからです。
「でも、結婚式の披露宴のテーブルなどには松竹梅以外にも福とか寿とかあるよ?」という反論が聞こえてきそうです。
結婚披露宴のテーブルは15や20ほども準備しなければなりません。そのため、「福」とか「寿」などは各テーブルにおめでたい言葉を当てるのに便宜上準備された物だと言えます。
結婚披露宴のテーブルや宴会場の部屋名などに使われることが多いこれらの文字ですが、調べてみるとこのような順になっていました。
松 竹 梅 福 禄 寿 雪 月 花 金 銀 宝 錦 祝 美 桐 桃 葵 蘭 楓 桜 柏 桂 楠 藤 椿 鼓 笛 扇 舞 鶴 亀 翁 嫗 華 賀 鈴 鳳
「松竹梅」の次に来る「福禄寿」は、有名な七福神の1人の名前にもなっていますね。
「福禄寿」とは七福神の1人で、「福禄人」とも呼ばれます。「福」は子宝に恵まれること、「禄」は財産のこと、「寿」とは健康と長寿の意味です。
他にも「雪月花」とか「鶴亀」など、三文字や二文字で用いられるものも取り入れられていますね。
まとめ
いかがでしたか?松竹梅を逆の順番で使っているお店が本当にあったなんて、ちょっとビックリしませんでしたか?
個人的には結婚披露宴などのテーブルで用いられる文字が、松竹梅に続いてこんなに沢山あることが凄いと思いました!
それでは今回の記事の内容をおさらいしておきましょう。
- 「松竹梅」を逆の順番で使っている鰻屋さんが現実に存在します。
- 飲食店で「松竹梅」で料理のランキングなどを表すのは、お客に対する配慮が最大の理由です。
- 「松竹梅」の由来は中国画の「歳寒三友」で、上下関係はありませんでした。
- 「松竹梅」に続く文字はありません。
- 結婚披露宴のテーブルなどの「福」などの文字は便宜上の理由で使用されています。
私も、紹介した鰻屋さんがどこなのか調べて一度行ってみたい気がします。「松ください!」って大声で言ったら気持ちいいだろうなぁ。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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