劇団四季のミュージカルって素敵ですよね。ライオンキングとかキャッツとか、登場するキャラクターが生き生きと動き回って感動します。
近頃はそんな劇団四季を学校の文化祭で再現しようという学校も沢山あります。
こうした場合に、著作権上の問題は発生しないのでしょうか?もちろん、無許可で劇団四季のミュージカルの真似を上演して料金を徴収すれば、訴訟を起こされて大変な事になります。
でも学校の文化祭は基本的に入場料などを徴収しないところが殆どです。そんな場合の劇の著作権は?そんな疑問に答えていきますよ。
ぜひ最後までお付き合いくださいね。
劇団四季を文化祭で再現するとき著作権は?
劇団四季の演劇を文化祭でやる場合、一定の条件をきちんと守れば著作権の問題は発生しません。ただし、グレーになりそうな部分も存在します。
一定の条件とは次のようなものです。
- 営利を目的としない。観客から料金を取らない
- 出演者などに報酬を支払わない
- 作品を改変して上演しない
これは著作権法第38条の「営利を目的としない上演等」にあたるため、学校の文化祭でもこれらを守って行うことで問題をクリアすることができます。
逆に、文化祭に入場するのに料金を徴収したり舞台の入場料を徴収したりすると、この法律が適用されなくなり著作権上の問題が発生します。
さらに著作権法第35条の「教育機関における複製」では、学校の授業等で著作物を複製することを認めています。
文化祭は「授業等」の一環にあたるため、ここで劇団四季のミュージカルを真似て上演しても問題になることはありません。
さて、最初に書いた「グレーになりそうな部分」とは上記のうちの最後の「作品を改変して上演しない」の部分です。これには大変難しい問題が含まれています。続いてご覧下さい。
著作権の上で学校の文化祭等で認められない場合
劇団四季のミュージカルを文化祭等で演劇する場合、前述のように改変をしないで上演するという条件が付きます。これは著作物の「同一性保護権」と呼ばれています。
同一性保護権とは、この場合に当てはめてザックリ言うと「劇団四季のミュージカルとはっきり分かるように、勝手に作り替えてはいけない」ということです。
この同一性保護権に違反する場合は、前出の著作権法第38条(営利を目的としない上演等)や第35条(教育機関における複製)に引っかかってくる恐れがあります。
この場合には、いちいち著作権者に改変するための許可を得なければいけないことになるんですね。
さて、ではどんなことをすると改変にあたるのかというと、これが大変に難しい。一般的に改変であるとされるのは次のような場合です。
- 上演時間の制約上、台本を部分的にカットする場合
- 出演者の人数や性別が脚本のとおり行かない場合
- 音楽、効果音、ライトなどを指定通り行えない場合
こうした場合は改変にあたるため、著作者の許可を得る必要があります。これは大変です。120分の演劇をそのまま120分で行わないといけません。
細かく指定されている出演者の人数、性別、諸々の演出も全てそのまま準備して行わないと改変であると見なされる恐れがあります。
さらに、次のような場合も改変にあたるという考え方もあります。
- セリフをほんのわずかでも変える場合
- 本番でセリフを言い間違える場合
セリフの言い間違いも改変となると、もはや事実上では文化祭で劇団四季のミュージカルを上演するのは不可能になってしまいます。
実際のところ、劇団四季のミュージカルをオリジナルの脚本通りに90分や120分の時間を使って、全く同じキャストで、一言一句の言い間違いもなく文化祭で上演するような学校はありません。
中学校や高校は日本全国に何千と存在し、それぞれの学校で文化祭が行われています。
それらの学校の文化祭で劇団四季のミュージカルを真似て上演していても、劇団側としてはいちいち権利の申し立てをしたり訴訟を起こしたりすることはしていない、というのが実際のところのようです。
中学校や高校では、厳密に言えば法的にグレーになるかも知れない部分もあるけれど目を瞑ってもらっている、というのが現状なのかも知れませんね。
こうした劇団側の姿勢につけ込んで劇団四季のコピーまがいをやっていいものかどうか、企画が持ち上がった段階で真剣に考えた方が良さそうです。
ところで、文化祭の企画ではクラスのTシャツを作る事が多いですよね。Tシャツにアニメのキャラなどをプリントしたら問題になるでしょうか?
また、演劇と同じようなステージ企画にバンドのコピー演奏もあります。これには著作権の問題は発生しないんでしょうか?
文化祭の様々な疑問についてこちらの記事にまとめました。併せてご覧下さい。
まとめ
いかがでしたか?
劇団四季のミュージカルを文化祭で上演するのことは、実はかなり厄介な問題をはらんでいる訳なんですね。
やはり文化祭で演劇をやるのであれば完全オリジナルの台本を作るか、シェークスピアなどの古典を上演するのがいいのかも知れないですね。
それでは今回の記事の内容をおさらいしておきましょう。
- 学校の文化祭で劇団四季のミュージカルを行うのは一般的に行われていることです。
- 学校の授業等は著作権の例外としてミュージカルを上演できます。
- ただし、改変して上演することは許可されていません。
- 劇団側が学校の文化祭での上演には目を瞑っているというのが現状のようです。
難しい法律などの問題はきちんとクリアして、スタッフも観客も気分よく文化祭を楽しみたいものですね。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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