先日、東京の知人と久しぶりに会って話していたところ、こどもの日の話題になりました。その中で童謡の「背比べ」の話が出て、面食らったんです。
彼は「ちまき食べ食べっていう歌詞があるけど、ちまきって何だろ?」って言うんです。衝撃的でした。30代になって「ちまき」を知らない人がいるなんて!
でもよくよく調べてみると、こどもの日には関東では柏餅、というのが定番で、ちまきはそれほど有名ではなかったんですね。
どちらも美味しいんだけど、あなたの地域ではこどもの日にはちまきですか?柏餅ですか?
そこで調べてみました、ちまきと柏餅の違い!調べてみると意外な事実がたくさん出てきて実に興味深かったです。
ちまきと柏餅が食べられている地方は?それぞれの発祥は?ちまきはなぜ細長いのか?柏餅はなぜ葉っぱに包んであるのか?などなど疑問をリサーチしてみました。最後までお付き合いください!
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ちまきと柏餅の違い
どちらもこどもの日に食べられる和菓子です。でもこの2つにはどういった違いがあるのでしょうか?まずはそれぞれの特徴を簡単にまとめてみました。
ちまき
- こどもの日には主に関西、北陸、東北で食べられる
- 戦国時代の中国が起源で日本に伝来した
- 細長い餅を笹の葉に包む
柏餅
- こどもの日には主に関東で食べられる
- 江戸時代の日本で始まった
- 平たくした餅に餡を挟んで柏等の葉で包む
ちまきは中国起源で歴史は古く、柏餅は日本起源で新しいんですね。
ではちまきにはどのような故事、由来があるのでしょうか?
2300年の歴史を持つちまき
ちまきが始まったのは、紀元前300年前後の中国です。当時の中国は戦国の世で、複数の国が割拠して争い合う乱世でした。
無念の詩人、屈原
ちまきの始まりは、ある詩人の無念を晴らすために当時の民衆が行った行為からと言われています。
覇権を争う国の一つに楚がありました。屈原は楚の文官(政治家)の一人で、有名な詩人でもあります。
有能な文官で性格は一本気、そんな屈原には政敵も多かったようです。当時の楚の国内は、乱世を乗り切るために同盟を結ぶ相手国を巡って意見が割れ、文官が対立していました。
そんな中、対立相手から讒言を受けて以来、屈原は王からの信頼を失って失脚します。
屈原は激しい失望を抱きました。しかし一方では楚への愛国心を捨て去ることも出来ません。結果、屈原は文明人であることを放棄します。
髪結いの紐を解き、髪を振り乱して野原をさまよい、ついには汨羅江(べきらこう)という河に身を投げて死を選びました。
そんな屈原の無念を沈めるため、当時の民衆は笹の葉に米を包んで汨羅江へと流しました。屈原の遺体を魚に食べられないように、魚に米を食べさせようというわけです。これがちまきの始まりです。
今でも中華ちまきは笹の葉に餅米やたけのこ、肉などを包んで蒸しますよね。2000年以上も昔の故事から始まった習慣がまだ息づいているなんて、ちょっとワクワクしませんか?
ところで、ちまきが細長い形をしているのはなんと蛇に見立てているから、って知ってました?
ちまきが細長いのは蛇の見立て!
ちまきが細長く作られるのは毒蛇に見立てているからです。
あえて毒に見立てたものを食べさせることで、子どもたちに免疫をつけさせ、怪我や病気に強い立派な体を手に入れて災いを遠ざけてほしい、という願いが込められたのが由来です。
ちなみに「ちまき」はかつては「茅巻き(ちがやまき)」とも呼ばれていました。昔はチガヤの葉で包んでいたのでそう呼ばれていたんですね。
それが手に入れやすい笹の葉で代用されるうち、呼び方も「ちまき」と短縮されるようになったという訳です。
ちまきについて、古い歴史と深い由来があることが分かりました。では一方、始まりが比較的新しい柏餅にはどの様な由来があるのでしょうか?
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柏餅は江戸時代に作られた
柏餅は1650年~1660年頃、江戸で作られたのが始まりです。上新粉の餅を平たく丸め、餡を乗せて二つ折りにし、さらに上から柏の葉で包みました。
でもなんで柏の葉っぱなのか?続けてお読みください。
柏の葉は子孫繁栄の願い
柏の葉を用いたのは、縁起がよく子孫繁栄の願いを込めたからです。柏は新芽が育つまで古い葉を落としません。この特徴が子孫繁栄の願いにつながって端午の節句に食べられるようになった訳ですね。
当時は参勤交代で、地方の大名が家来を連れて江戸に来ては帰りを繰り返していました。そうするうちに江戸で発明された柏餅も地方へと広がっていったんです。
ちなみに鎧兜を飾ったり鯉のぼりをあげることは江戸時代に広まったんですよ。
⇒ 端午の節句の兜にはどんな意味があるの?節句って何だろう?鯉のぼりの吹き流しについてはこちらをどうぞ。
⇒ 鯉のぼりの吹き流しはこんな意味だった!調べて分かった驚きの事実
柏の葉が取れない地域もたくさんあったため、1930年ころまではそれほど広まっていませんでした。その後、韓国や中国から柏の葉が輸入されるようになったため各地で定着をしていきました。
今でも柏の代わりに、サルトリイバラ、ホオノキ、コナラなどの葉を使う地方も多いようです。
中の餡は地方によって違う
柏餅の中の餡は味噌あん、つぶあん、こしあんの3種類が使われています。
関東では味噌あんが多いですが、中部以西ではつぶあん、こしあんのほうがポピュラーになるようです。
特に愛知県を中心とした中部地方や九州では味噌あんの柏餅は殆ど見かけないようです。
愛知県といえば赤味噌が有名で、味噌カツや味噌煮込みが名物です。その愛知で味噌あんの柏餅が食べられていない、というのはかなり意外な事実ですね!
まとめ
いかがでしたか?こどもの日に食べるちまきと柏餅の違いについて、あなたの疑問解消のお役に立てたでしょうか?以下にまとめておきます。
まとめ
- こどもの日にちまきを食べるのは主に関西です。
- ちまきは約2300年前の詩人、屈原の弔いに起源があります。
- ちまきが細長いのは毒蛇の見立てで、病気に強い大人になって欲しいとの祈りです。
- 柏餅は主に関東で食べられます。
- 柏餅は1600年代の半ば、江戸で発明されました。
- 柏の葉で包むのは子孫繁栄の願いが込められているためです。
- 中の餡は地方によって異なります。
次のこどもの日には趣向を変えて、食べたことのないちまきや柏餅を楽しんでみるのもいいですね!最後までお付き合い頂きありがとうございました。
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