NHKの受信料はほとんど税金に準じているようなものというイメージがあります。何せほとんど全部の世帯にテレビがあって、テレビがあれば請求されるんですからね。
でも私の様にテレビを持たない人は払わないことが可能です。
一方で、NHKは見ていないから支払いたくない!と考えている人も相当に多いはず。そんな人が実際に支払わないとどうなるのかを解説していきます。
合わせて、NHKの支払いを免れる合法的な方法やNHKが受信料を徴収する根拠も調べてみました。
ぜひ最後までお付き合いくださいね。
NHKの受信料を払わないとどうなる?
NHKの受信料を払わないでおくとどうなるのかについて解説していきます。
一口に「受信料を払わない」と言っても、既に契約をしている場合とテレビを持っているのに未契約である場合に分かれますので、それぞれについて詳しく見ていきましょう。
まずは既にNHK契約をしていて受信料を滞納している場合です。
NHKと契約済みで受信料を払っていない場合
NHKと契約を済ませているのに最初から受信料を払わない、あるいは途中で受信料を払うことをやめてしまったと言った場合、最終的には訴訟を起こされる恐れがあります。
訴訟に発展するまでには幾つかの段階があり、実際のところはどこかの段階で支払う人がほとんどと言えます。
受信料を滞納した場合の流れは次のようになります。
- NHKから督促状が届く
- それでも支払わないとNHKの訪問員がやって来て対面で督促される
- それでも支払わないと「支払督促」という法的手続きで回収を試みてくる
- それでも支払わないと「督促異議」の申立ての機会を与えられる
- 4で「督促異議」をすれば訴訟へと移行する
- 4で「督促異議」をしないと「仮執行宣言」の申し立てをされる
- その後「仮執行宣言付支払督促正本」が世帯へと送られ、再び「督促異議」の申立ての機会がある
- 7で「督促異議」をすれば訴訟へと移行する
- 7で「督促異議」をしないと強制執行となる
このような流れです。
難しい用語がたくさん出てくるのでもっと簡単な言葉で書き直すとこうなります。
- NHKから「支払ってね」という手紙が届く
- NHKの人が徴収にやって来る
- 法律を盾に強制的に支払わせる方法を取ってくる
- 「この請求はおかしい」と思えば公に宣言する
- 4で宣言すると裁判で争うことになる
- 4で宣言しないと「このままだと強制的に預金や給料の差し押さえをするよ」という仮の宣言が出される
- 「差し押さえになりますよ」という手紙が届き、再び「それはおかしい」と公に宣言するチャンスがある
- 7で宣言すると裁判で争うことになる
- 7で宣言しなければNHKによって預金や給料が差し押さえられて強制的に徴収される
これなら少し分かりやすくなったかな?
NHKの受信料の滞納は、実は借金と同様のケースと見なされるため最終的には強制力により差し押さえが可能となっているんですね。
途中で異議申立の機会があるにせよ、どのみちNHKに有利な形になっているようです。そもそもNHKは組織で動いていますので、個人である私たちが意地になって頑張ったところで簡単に勝てるものではないんですね。
では続いてテレビがあっても契約をしていない場合を見てみましょう。
テレビはあるのにNHKと契約をしていない場合
テレビがあるのにNHKと正式に契約を交わしておらず受信料を支払わないと究極的には裁判となります。そして裁判になれば敗訴はほぼ確定的です。
2017年12月6日に最高裁で判決が示されたいわゆる「NHK受信料訴訟」では、「テレビがある世帯はNHKと受信契約を結ぶ義務がある」という放送法の規定を合憲と判断しました。
これを報じた朝日新聞DIGITALの記事には次のような記載があります。
NHKが受信契約を結ばない男性に支払いを求めた訴訟で、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は6日、テレビがあればNHKと契約を結ぶ義務があるとした放送法の規定は「合憲」とする初めての判断を示した。事実上、受信料の支払いを義務づける内容だ。
(中略)
判決は、NHKからの一方的な申し込みでは契約や支払い義務が生じず、双方の合意が必要としたが、NHKが受信料を巡る裁判を起こして勝訴すれば、契約は成立する、と指摘した。
日本の裁判は判例主義を採用しています。このような判決が存在するので、今後も類似の裁判があれば同じように支払い義務が認められることになるでしょう。
この新聞の解説のポイントを整理すると次のようになります。
- NHKから一方的に申し込んだだけでは受信契約や支払い義務は発生しない
- だがNHKが受信料の裁判で勝訴すれば支払う義務が生じる
つまり、テレビを持っていてもその人が合意していない状態なら支払い義務はない。しかし、裁判になってNHKが勝てば支払わないといけなくなるということです。
結局、テレビを購入したけどNHKに届け出をしない(=契約をしない)状態なら支払わなくていいということになります。でも裁判を起こされるリスクがありますよ、ということも同時に覚えておかなければいけません。
ただしこれは「NHKが裁判で勝てば」という話です。ここに着目して、「NHKが個人を相手にいちいち裁判を起こして受信料の徴収をするだろうか」という疑問の声もあります。
確かに個人を相手に一つ一つ司法に判断をしてもらうというのは大変な手間です。それこそNHKも裁判所もその手間だけでパンクしてしまいます。
だからそんな非効率なことをNHKがするはずがないと言うのですが、実際の所は分かりません。
確実に言えることは、裁判を起こされるリスクがあるということです。
NHKの受信料を払わない方法は?
NHKの受信料は次の手順を踏むことで支払い義務を逃れることができます。その手順を箇条書きにすると次のようになります。
- まずはテレビの受信機を全て処分する
- 「NHKふれあいセンター」の問い合わせ先に電話をして解約の申し出をする
こうすることでNHKから「放送受信契約解約届」という書面が届くので、必要事項を記入して返送します。
これでNHKの契約が解除され、次の月から支払いをしなくて済むようになるんですね。
大切なのは、テレビの受信機を全て処分することです。車のカーナビやワンセグチューナーがついた携帯電話やスマホも全てテレビ受信機ですのでこれらも処分しないといけません。
さらに2019年以降は、ワンセグを見られないスマホやパソコンも処分しないといけないかも知れなくなりそうです。
2019年5月に放送法が改正されたことにより、ネットに繋がるスマホやパソコンは受信料の対象とすることが可能になりました。こちらの記事もぜひチェックして下さい。
場合によってはテレビを処分したという証明書などが必要になる事があります。売り払ったり処分を依頼した業者から証明書を受け取り大切に保管しておきましょう。
ただ「NHKは見ていないから」というのでは理由にはならず、解約が認められないので注意が必要です。
ではなぜ、NHKを見ていなくても受信料を支払わなければいけないんでしょうか?
NHKの受信料を徴収する根拠は?
テレビを持っている世帯からNHKが受信料を徴収できる根拠は「放送法」という法律にあります。
この法律の第64条には次のような条文があります。
第六十四条 協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。
ここに書かれている「受信設備」とは、テレビとアンテナを合わせたものを指しています。テレビだけあってアンテナがない場合は受信設備とは認められないので支払い義務もありません。
また「テレビを設置したら契約をしなければならない」とあるけど、仮に契約をしなくても逮捕されるわけでも刑罰を科されるわけでもありません。
この法律には罰則規定がないため、違反してもそのことで処罰の対象になるわけではないからです。
だからこそNHKはテレビがある家庭に粘り強く受信契約を迫ってくるし、支払わない場合は訴訟に発展することも辞さないという姿勢を持っているんですね。
この話題に関連して、マンションなど共同アンテナの世帯では受信料を払う義務が生じるのかについて、こちらの記事をご覧下さいね。
まとめ
いかがでしたか?
NHKを見ていない人にとっては受信料を払わないといけないのは理不尽に感じるものです。今後の法律の整備によりより公正な方向に進んで欲しいですね。
NHKの受信料関連はこちらの記事でまとめました。合わせて読んでみて下さいね。
それでは今回の記事の内容をおさらいしておきましょう。
- NHKの受信料を支払わないと、訴訟に発展したり強制執行で給料の差し押さえをされたりします。
- テレビを持っているのに契約をしないと裁判沙汰になるリスクがあります。
- テレビの受信機を処分してNHKに電話をすると「受信契約解約届」が送られてきます。
- この解約届を提出して認められると契約解除が成立します。
- NHKが受信料を徴収するのは「放送法」という法律を根拠にしています。
どうせ支払わないといけない受信料ならきちんと支払って、NHKにはもっといい番組を作ってもらうように要望するのも手段かも知れませんね。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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