気象・災害

台風は地球温暖化に影響されている?巨大化や数が増えるのは本当?

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この数年は台風の季節になると、地球温暖化により影響を受けて巨大化・凶暴化した台風が数多く上陸するといった論調のマスコミ報道が目立つようになってきました。

確かに子供の頃の記憶と比べると、この10年ほどは巨大な台風がたくさん上陸して、日本の各地に大雨や洪水、土砂災害などの甚大な被害を与えている印象があります。

マスコミの地球温暖化報道もあり、これは二酸化炭素の増大で地球が温暖化してきた結果なのではと心配な気持ちになってきますね。

そこで、台風が地球温暖化によって影響を受けているのは本当なのかを調べてみました。近頃の台風は巨大化しているのか?数が多くなっているのか?など、客観的なデータを見てみましょう。

ぜひ最後までお付き合いくださいね。

台風は地球温暖化の影響を受けている?

結論から書くと、台風が地球温暖化の影響を受けているという説に根拠はありません

日本で気象観測が始まったのは1871年で、およそ150年の歴史を持ちます。その150年間、台風の規模が巨大化しているとか数が増えているというデータはありません

実際のところ、観測史上で最も巨大な台風が日本に上陸したのは1961年のこと。地球温暖化説が広く流布したのが1990年頃ですので、そこから数えても30年近くも前の話です。

「でも経済活動が活発化してCO2濃度が上がり始めたのは1700年代末からだ。200年かけて徐々に台風の勢力が強くなっている筈だ」という反論が出そうです。

しかし、観測機器を使って気象データを取り始めたのは1800年代初頭のことで、それ以前の客観的データは存在しません。つまり「人間の活動で二酸化炭素がたくさん出て温暖化し、台風に影響を与えた」という証拠はないのです。

そもそもの話として、地球は本当に温暖化しているのかといった懐疑的な意見も多くあります。さらにIPCC(気候変動に関する政府間パネル)という国際機関でも「温暖化」と言わずに「気候変動」という言葉を使っています。

では実際のところ、台風の規模は巨大化しているのか?していないのか?過去のデータと合わせて見ていきましょう。

地球温暖化で台風が巨大化している?

結論としては、地球温暖化により台風が巨大化しているという事実はありません。これを客観的に見るために、気象庁が公表している台風の規模に関するデータを見てみましょう。

まずは台風の規模に深く関係している中心気圧の歴代10位までです。中心気圧は上陸時のものです。

順位 中心気圧(hPa) 上陸年月
1 925 1961年9月
2 929 1959年9月
3 930 1993年9月
4 935 1951年10月
5 940 1991年9月
5 940 1971年8月
5 940 1965年9月
5 940 1964年9月
5 940 1955年9月
5 940 1954年8月

ご覧のように、中心気圧の歴代10位までを見ると殆どが1950年代、1960年代に上陸した台風です。90年代に上陸したものは2個、2000年以降のものはランクインしていません。

もしも地球温暖化の影響で台風が巨大化しているのなら、温暖化の対策が始まった1990年代の台風がたくさんランクインしているはず。

でも実際にはこの様に、温暖化などという言葉はなかった時代にはとても強い勢力の台風が上陸していました。

では台風が日本に上陸した数を比較するとどうなるでしょうか?続いてご覧下さい。

地球温暖化で台風の数が増えている?

データを見る限り、1990年代や2000年代になって台風の数が増えているとは言えません

これも台風の強さと同様に、気象庁のデータから数字を見てみましょう。ご覧いただくのは台風が上陸した年の歴代10位です。

順位 西暦年 上陸数
1 2004年 10
2 2016年 6
2 1993年 6
2 1990年 6
5 2018年 5
5 1989年 5
5 1966年 5
5 1965年 5
5 1962年 5
5 1954年 5

このように、最多は2004年の10個と他の年と比べて突出しています。続いて2016年、1993年、1990年が6個。さらに5個の中にも2018年、1990年、1989年と近年のものが多くランクインしています。

しかし、このデータを見て「やはり近年になって台風の数は増えているんだ」と考えるのは早計です。

逆に、上陸した数が少なかった年のデータも見てみると驚くべき事が分かります。

順位 西暦年 上陸数
1 2008年 0
1 2000年 0
1 1986年 0
1 1984年 0
5 2009年 1
5 1995年 1
5 1987年 1
5 1980年 1
5 1977年 1
5 1973年 1
5 1957年 1

これを見れば一目瞭然でしょう。上陸0個の年が4回あり、そのうちの2回は2000年代になってからのことです。他に上陸1回の年は1970年代から2000年代までに分布しています。

こうしたデータを素直に見れば、「昔から台風が多い年も少ない年もあって、最近だけ多いわけじゃないんだ」という結論になるでしょう。

逆にこれらのデータを元に「近年になって台風が多い年と少ない年の両極端になり始めた!」と主張する人は、よほど頭が固いか素直じゃないかどちらかだろうと思いますが、どうでしょうかね?

関連して、本当に温暖化は進んでいるのか、二酸化炭素との関連はあるのか、などをこちらの記事で解説しています。

また、異常気象のために夏が暑いことや大雨になりやすい原因をこちらの記事で解説しています。

まとめ

いかがでしたか?

150年の日本の気象観測史だけ見ても、台風は巨大化も多数化もしているとは言えないという結論になると言えそうです。

これがデータの無い2000年間や1万年間で考えたとき、このわずか10~20年程度で急激に台風の様子が変わっているとはちょっと想像しにくいですね。

これらに関連して、台風の風速の基準や目安について、こちらの記事にまとめましたので合わせてご覧下さいね。

温暖化や台風、異常気象についてまとめた記事はこちらからご覧いただくことが出来ます。あわせて是非どうぞ。

それでは今回のをおさらいしておきましょう。

まとめ

  • 台風が地球温暖化の影響を受けているという説に客観的な根拠はありません。
  • 気象庁のデータを見る限り、日本に上陸する台風は巨大化してはいません。
  • 同様に、上陸する数が増えている事実はありません。

個人的には、人間の活動が偉大な地球の気候に与える影響などは微々たるものだと思っています。年ごとの気候の違いを楽しむくらいの心の余裕を持ちたい者ですね。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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